こんにちは。現場管理の桑畑です。
今回は、お客様から「訪問販売業者に漆喰の劣化を指摘され、打ち直さないと雨漏りすると言われた。本当に工事が必要なのか、屋根を診断してほしい」とご依頼をいただきました。
突然、訪問販売業者から屋根の不具合を指摘されると、修理が必要なのか不安になることもあると思います。そこで、実際に屋根の状態を確認し、必要な工事についてお客様と相談しながら進めることになりました。
今回はその施工の様子をご紹介します。
①施工前の状況


現場を確認すると、地震の影響で棟瓦の位置がずれ、棟の高さを低くしたとのことでした。そのため、棟に使用されている熨斗瓦(のしがわら)は1段のみになっていました。
棟とは、屋根の面と面が合わさる頂上部分のことです。熨斗瓦は、棟を構成するために積み重ねて使用される平たい瓦を指します。
棟の状態によっては、瓦同士のつなぎ目から雨水が入り込むおそれがあります。雨水が瓦の下に敷かれたルーフィング(防水シート)まで浸入すると、防水シートの劣化につながる可能性もあります。
今回の屋根は、地震後に棟の形状が変わっていたことから、現在の状態を踏まえて今後の雨水の浸入リスクについても検討しました。
お客様に現状をご説明し相談した結果、既存の棟を一度解体し、熨斗瓦を使用しない納まりに変更することになりました。新たに使用するのは、棟の頂上部分に取り付ける7寸丸瓦です。7寸丸瓦とは、直径がおよそ21cmの丸瓦を指します。
地震などの災害後に屋根が気になる場合
地震や大雨などの後に、瓦のずれや棟の高さの変化が気になる場合は、屋根の状態を確認することが大切です。見た目に変化があった場合でも、必要な工事は実際の状態によって異なります。
今回も、訪問販売業者からの指摘だけで工事を決めるのではなく、現地調査で屋根の状態を確認したうえで、施工内容を決定しました。
②工事内容
棟瓦と内部の土を撤去
まず、既存の冠瓦(かんむりがわら)と熨斗瓦を取り外し、棟の内部を確認しました。


瓦を外してみると、内部には想定以上に多くの土が詰まっていました。その土も取り除き、棟を新しく組み直すための準備を進めていきます。
従来の工法では、棟の内部に土を使用している場合があります。土を多く使った棟は重量が増すため、地震の揺れによる負担が大きくなる可能性があります。また、長年の雨風や揺れなどによって土が崩れたり、固定力が低下したりすることもあります。
今回は、既存の瓦と内部の土を撤去したうえで、新しい棟の下地を設置していきます。
棟の下地を設置


撤去作業が終わったら、棟を固定するための金物を取り付けます。
その後、糸を張って高さを調整しながら、棟の土台となる下地を設置しました。高さと位置をそろえることで、棟をまっすぐに整え、安定して取り付けられるようにします。
棟は屋根の頂上部分にあたるため、下地の位置や高さを合わせることが、仕上がりにも関わります。今回も、棟を安定して固定できるように下地を整えました。
棟下地を固定して冠瓦を取り付け


棟の下地を設置した後は、芯木の周りを南蛮漆喰で埋めて整えました。
南蛮漆喰は、瓦屋根の棟などに使用される材料です。芯木の周囲を埋めて整えた後、新しい冠瓦を取り付けていきます。
冠瓦は、パッキン付きのステンレスビスを使用して固定しました。棟の土台は屋根の下地に直接固定しているため、棟全体を安定して支える構造になっています。
このように、既存の棟を解体して内部の土を撤去し、下地を設置したうえで新しい冠瓦を取り付ける手順で工事を進めました。
③施工後


施工後は、熨斗瓦を積み重ねる従来の形状から、7寸丸瓦を使用した棟へと改修しました。
新しい冠瓦はパッキン付きのステンレスビスで固定し、棟の土台も屋根の下地に直接固定しています。棟全体を安定して支えられる構造となり、ずれやぐらつきが起きにくい仕上がりになりました。
また、施工前から施工後までの写真をお客様にお見せしながら、実際に行った工事の内容についてご説明しました。
お客様からは「これで安心して過ごせます!」とのお言葉をいただきました。
④まとめ
今回は、焼津市I様のお宅で、地震後に高さが低くなっていた棟瓦を取り直す工事を行いました。
現地調査では、棟の熨斗瓦が1段のみになっている状態を確認しました。瓦同士のつなぎ目から雨水が浸入すると、瓦の下に敷かれたルーフィングの劣化につながるおそれがあるため、お客様と相談のうえ、既存の棟を解体して新しく組み直すことになりました。
工事では、冠瓦と熨斗瓦、内部の土を撤去した後、金物を取り付けて棟の下地を設置しました。さらに、芯木の周りを南蛮漆喰で整え、新しい7寸丸瓦をパッキン付きのステンレスビスで固定しています。
瓦屋根は塗装を必要としないため、塗装にかかるメンテナンス費用を抑えられるという特徴があります。一方で、棟や瓦のずれなどは、屋根の状態に応じて確認や補修が必要です。
屋根は普段の生活では見えにくい場所ですが、地震などの後に変化が見られた場合は、状態を確認することが大切です。今回の工事では、施工前後の写真をもとに作業内容をご説明し、棟の取り直しを完了しました。








