


縦平葺きの棟下地になぜ木材を使うのか?
屋根工事では、完成すると見えなくなってしまう「下地」が非常に重要です。
今回ご紹介するのは、縦平葺きの棟や下り棟に使用する下地についてです。
こちらの現場では、棟下地に木材を使用しています。
最近では「腐らない」という理由から人工木材を使用する施工も増えていますが、屋根の種類や納まりによって材料を使い分けることが重要だと私たちは考えています。
特に縦平葺きや瓦棒葺きでは、木材の下地が適していると考えています。
木材の弱点として、まず思い浮かぶのが腐食だと思います。
しかし木材は、水に触れ続ける環境でなければ簡単に腐るものではありません。
縦平葺きの棟部分は、適切な雨仕舞いを行えば、下地の木材に雨水が触れにくい構造にすることができます。
さらに木材は熱にも強く、夏場に非常に高温になる屋根の上でも劣化しにくいというメリットがあります。
一方、人工木材は水には強いものの、熱による劣化や長期間使用した場合の脆化についても考える必要があります。
そのため、「人工木材だから安心」と一括りにするのではなく、使用する場所に合わせた材料選びが大切です。
では、水が回る可能性のある場所でも木材を使う場合、どのような施工をしているのか。
後編では、その施工方法をご紹介します。



木材を長持ちさせるための雨仕舞いと通気
前編では、縦平葺きや瓦棒葺きの棟下地に木材を使用する理由についてご紹介しました。
では、横葺きなど棟下地付近に水が回る可能性がある屋根ではどうするのでしょうか。
こうした場所では、水に強い人工木材の方が有利な部分もあります。
しかし私たちは、そこでも人工木材を使用するのではなく、先に金属の板金を取り付けて水を遮断し、その上に木材を施工する方法を採用しています。
つまり、木材そのものを水に強くするのではなく、そもそも木材に水を触れさせない構造を作るという考え方です。
通気と面戸も大切なポイント
今回の縦平葺きの棟下地では、木材と木材の間にあえて隙間を設けています。
隙間を設けることで風が通り、内部に湿気がこもりにくくなります。
ただし、そのままでは鳥や虫などが入り込んでしまう可能性があります。
そこで隙間部分には、金属の板を加工して作った「面戸」を取り付けています。
雨水を入れない、木材を濡らさない、通気を確保する、鳥や虫の侵入を防ぐ。
こうした細かな納まりまで考えることで、木材を長く使用できる環境を作っています。
屋根工事では、完成したときに見える屋根材だけではなく、その下にどのような材料を使い、どのような考え方で施工しているかが非常に重要です。
人工木材と木材のどちらかがすべての屋根で優れている、という単純な話ではありません。
屋根の種類、雨水の流れ、熱、通気などを考え、その場所に適した材料を選択することが大切です。
今回は、縦平葺きの棟下地になぜ木材を使用しているのか、私たちの施工に対する考え方をご紹介しました。
