突然のゲリラ豪雨や毎年被害を出す台風……
大切な建物が被害に遭ってしまったら、ぜひご検討していただきたいのが「火災保険」。
火災保険は火災の他にも自然災害が原因する被災に対して保険金が下ります。
ただし、必ず無償で工事できるというわけではありません。
業者の中には高額な請求をしてくる悪徳業者もいます。
こちらでは正しく火災保険をご利用していただくために、火災保険について詳しく解説させていただきます。
屋根や外装リフォームに使える火災保険とは?
雨漏りや屋根が飛ばされてしまうなど、こういった被害は突然起きるもの。
その時に心配になるのが、工事費の負担ではありませんか?
火災保険は万が一のときに大変役立ってくれる心強い保険です。
万が一の被災に安心な火災保険
火災保険はほとんどの住宅に加入されており、その加入率は8割ほどと言われています。
火災保険は火災だけを補償するものと誤解されやすいですが、その他に台風や雹災、落雷、風災など様々な災害に対応しております。
火災保険は「建物」と「家財」の2つを補償します。
「建物」は建物本体はもちろん、敷地内にある門や塀、物置、車庫などの付属物も含まれます。
「家財」はテレビや家具、エアコン、衣類など生活に欠かせない「動かすことができるもの」が対象です。
ただし、30万円/個(または組)を超える貴金属や宝石、書画、骨董品などの明記物件は、契約時に申告して保険証券に明記しなければ保険対象とはなりません。
また、地震を補償するものは「地震保険」となりますのでご注意ください。
火災保険の補償対象と被害事例
火災保険が補償するのはこちらの災害です。
- 火災・破裂・爆発
- 風災
- 雹災
- 雪災
- 水災
- 落雷
- 突発的な事故・騒擾や集団行動・盗難による汚損や損傷
- 漏水などによる水濡れ
風災や水災、雪災が災害全体の6割を占めます。
火災保険は上記の災害に対して、後片付けや清掃、搬出などの「残存物取片付け費用」も補填します。
火災・破裂・爆発
ご自宅からの火災の他に近隣からの延焼も補償対象。
ガス漏れにより爆発して建物の窓ガラスや食器などの家財が割れるなども補償できます。
風災
2019年に千葉県を襲った台風15号はゴルフ練習場の鉄柱が倒れてテレビメディアでも騒がれました。
強風や台風による屋根板金の剥がれ、瓦の崩落、屋根材の飛散、飛来物による破損などが補償対象となります。
雹災
雹災は積乱雲が発生しやすい5〜6月の初夏に多く、降雹日数は年間2日ほどと少ないです。
しかし、氷の塊が降ってくるため非常に危険で、金属屋根を凹ませる、屋根が割れる、アンテナが折れる、雨樋に穴が開くなどの大きな被害が起きています。
雪災
屋根に積もる雪は非常に重量があり、1cm/㎡の積雪で約3kg、締雪(しまりゆき)で約5kg、60㎡の屋根に10cm積雪すると1,800kgで軽自動車2.5台分(締雪なら3,000kgで4.5台分)となります。
雪災では雨樋が折れ曲がる、軒先が歪む、カーポートやベランダの屋根が割れるなどの被害が起きています。
水災
台風などによる洪水や土砂崩れにより、床上浸水の被害などを補償します。
近年は異常気象により突発的な豪雨で川が氾濫し、水災被害も多く発生しています。
落雷
落雷により屋根に穴が開く、電化製品が壊れるなどの被害を補償します。
落雷による建物の損傷によって雨漏りを起こす二次被害もありますので注意が必要です。
突発的な事故・騒擾や集団行動・盗難による汚損や損傷
泥棒が侵入して窓ガラスが割られてしまう、テレビなどの家電製品が盗まれたなどを補償。
騒擾や暴動による破損も補償できます。
漏水などによる水漏れ
給水配管からの水漏れで室内や家財を水浸しになった場合に補償します。
水災とは異なりますのでご注意ください。
※上記の補償対象は保険の契約内容によって異なります。
火災保険の申請が認められないケースとは?
火災保険は「被災前の状態に戻すこと」が原則です。
被災前よりも高機能にリフォームするという場合は別途費用が掛かります。
さらにこちらに該当すると補償対象外となります。
・経年劣化
・免責金額よりも安い
・申請期限3年を過ぎた
火災保険は自然災害に対して補償されるため、経年による劣化は補償されません。
火災保険は保険法第95条で申請期限が3年以内と規定されており、それを超えると保険金を受け取れません。
尚、3年以内なら後から気づいても申請可能です。
火災保険は免責金額(自己負担額)を設定します。
免責額を下回る修理費だと保険金を受け取れません。
火災保険の申請手続きについて
保険会社に被害状況を伝え、送られてきた保険金申請書など下記書類を送付すると保険金の承認通知がきます。
- 保険金申請書
- 事故状況証明書
- 見積書
- 被害箇所の写真
【申請の流れ】
保険会社・保険代理店へ連絡(申請書類入手)
↓
工事業社に見積もり依頼
↓
保険金申請書・事故状況証明書の記入と添付書類の送付
↓
保険申請の承認と保険金の入金
↓
工事のお打ち合わせ
↓
工事契約
↓
工事開始〜お引き渡し
写真で被災を判断できない、過度な金額の請求などがある場合は、保険鑑定会社の調査やヒアリングがあります。
工事契約は必ず保険金の申請が通って入金の確認がされてから行いください。
火災保険の保険金の支払いについて
保険金は修理費に免責金額を差し引いた金額が支払われます。
免責金額よりも低い場合は支払われませんのでご注意ください。
免責金額は契約者により異なり、負担が大きいほど毎月の保険料を抑えられます。
無料という過剰なセールスに注意!火災保険のトラブルは毎年多くあります!
火災保険によるトラブルの相談件数は令和2年で5000件以上も国民生活センターに寄せられています。
国民生活センターの統計では、夏の豪雨、豪雪被害に見舞われた2020年度の相談件数が前年度よりも2倍に膨れ上がっています。
トラブルの原因となっているのは8〜9割が訪問勧誘によるものです。
悪徳業者にはこのような特徴がありますのでご注意ください。
【悪徳業者の特徴】
・自己負担額ゼロを強調
・強引に契約を迫ってくる
・不安を煽る
・嘘の理由で高額な工事代を請求
・考えさせる時間を与えない
過剰なセールスをする事例
契約を強引に迫ってきた!
台風で屋根が壊れてしまい、訪問してきた業者に相談。「保険金が出るから無償で工事ができます。だからすぐに保険会社に連絡してください」と言われた。
業者の指示のもと進め、届いた見積もりは想定していたよりも大きな金額。さらに保険金の支払いがまだ確定していないのに契約を迫ってきた。
契約をしていいのか悩んでいると「そのままにしたら雨漏りする」と言われて不安になってしまい契約をした。その後はトラブルの続きで、工事も杜撰。
結局他の業者に工事をやり直してもらったが、保険金よりも支払いが多くなってしまった……
保険金が下りなくて、高額な工事費を払うことになってしまった……
「屋根が剥がれていますよ」と業者から指摘がありました。屋根に登って点検してくれるということでそのまま見積もりも頼みました。
「火災保険で無料で工事ができます」と業者の言われるままに……
すぐに工事が始まりましたが、その途中で保険金が下りないことがわかりました。
約束が違うと言っても業者は聞く気もなく。
これ以上トラブルを大きくしたくなかったので多額なお金を支払うことになってしまいました……
悪徳業者に騙されない対策方法
悪徳業者に騙されないためにこちらの対策を大事にしてください。
【悪徳業者に騙されない対策方法】
・業者に迫られてもすぐに契約しない
・相見積もりを必ず取る
・保険金が出る前に契約をしない
もし、契約をしてしまったら……
そんな時はクーリングオフ制度をご利用ください。
クーリングオフ制度は、訪問販売や電話勧誘など契約から8日間以内であれば契約解除できます。
契約書にクーリングオフの記述がない場合や業者から脅された場合は8日間過ぎても契約解除が可能です。
火災保険のよくあるご質問
Q火災保険使うと保険料が上がりませんか?
自動車保険とは違って、火災保険を利用しても毎月の保険料が上がるわけではありません。
Q火災保険が下りたら必ず工事をしないといけない?
保険料が下りても必ず工事をしないといけないわけではありません。
保険料はご自由にお使いいただいて問題ありませんが、建物の老朽化が進んだり、いざ保険が必要になった場合に申請が通らない可能性があります。
Q火災保険で他のリフォームは可能ですか?
火災保険は「現状復旧」が原則です。
損害を受けた範囲以外のところの修理やグレードアップを図るリフォームは自己負担となります。
しかし、この機会に根本的な修繕がしたいと葺き替えなどを行うと建物の延命に繋がります。
保険金の有効な活用方法ですので、ぜひ自己資金をプラスしてリフォームをご検討してみてください。
Q早く確実に保険金を受け取るには?
早く申請を通すには代理請求など施工業者を除いた会社を介さないことです。
火災保険の経験が豊富な業者なら申請のサポートやアドバイスを受けることができます。
火災保険をご利用する際は、慎重に業者をお選びください
被災に遭ってすぐに修理したいと思う気持ちはよく分かります。
ですが、相談する業者を間違ってしまうとせっかくの火災保険も有効に活用できません。
火災保険を利用するにしても業者選びが非常に重要です。
「火災保険なら無償で工事できます」
「すぐに工事しないと雨漏りしますよ」
「今日契約をしてくれれば半額にします」
このようなセールストークは悪徳業者の常套手段です。
甘い言葉で営業してくる業者にはくれぐれもご注意ください。
屋根リフォーム相談窓口加盟の工事店では、火災保険のご相談やご利用などの対応をしておりますのでお気軽にご相談ください。