セキスイかわらUは、1970年から2007年まで約40年間販売された人気の屋根材です。瓦を模したデザインと軽量性が特徴で、全国で50万棟以上の住宅に使用されました。
しかし、製造時期によってはアスベストの有無や経年劣化による問題が浮上しており、リフォームを検討する方が増えています。
また、販売終了から30年以上経過しているため、そろそろ屋根リフォームをご検討されることをおすすめします。
この記事ではセキスイかわらUの特徴や問題点、正しいリフォーム方法について詳しく解説します。
実際に行った施工事例も紹介いたしますので、リフォームを依頼する前にぜひご覧ください。
セキスイかわらUとは?
セキスイかわらUは、積水化学工業(現:積水屋根システム株式会社)が開発したセメント系スレート屋根材で、以下のような特徴があります。

デザイン: 伝統的な瓦を模した波状の形状で和風建築にも洋風建築にも調和。
軽量性: 1㎡あたり約13~14kgと、粘土瓦(約40kg/㎡)に比べて軽量。耐震性向上に貢献。
施工性: 屋根カバー工法や葺き替えに適しており、既存のスレート屋根やトタン屋根に重ねて施工可能。
歴史: 1970年に販売開始、2013年9月に販売終了。現在はアフターメンテナンスのみ対応。
セキスイかわらUはセキスイのブランド力と優れたデザイン性から、屋根リフォームの第一選択肢として広く採用されました。
しかし、1990年8月のアスベスト規制以降、ノンアスベスト製品に切り替わったことで耐久性に課題が生じました。その問題点を次の項目で解説します。
アスベスト(石綿)とは?
アスベストは天然の繊維状鉱物で「せきめん」や「いしわた」とも呼ばれています。
その繊維は肺線維症、中皮腫の原因になると言われており、肺がんを起こす可能性があるため軽視できません。
タイプ別!セキスイかわらUの問題点
セキスイかわらUの問題は、製造時期によるアスベストの有無と、ノンアスベスト製品の劣化に大別されます。
それぞれの問題点について以下にまとめました。
アスベスト含有(1975年~1990年8月)
初期のセキスイかわらUには、10~15.7%のアスベストが含まれていました。
アスベストは耐久性や耐火性に優れるという特徴がありますが、発がん性が問題視されたことで1990年以降に使用が規制されました。

特徴: アスベスト含有タイプは頑健で塗膜の剥がれやひび割れが少ない。33年以上経過しても比較的良好な状態を保つ場合が多い。
問題点:アスベストによる健康被害リスクがある。撤去や加工時にアスベスト繊維が飛散する可能性がある。また、経年劣化によるコケや汚れ、漆喰の劣化、笠釘の抜けなどのメンテナンスが必要。
注意点: 撤去工事にはアスベスト対応の専門業者への依頼が必要。作業員や周辺住民への飛散防止策が必須。
ノンアスベスト(1990年9月~2007年)
アスベスト規制後、セキスイかわらUはビニロンなどの有機繊維を使用したノンアスベスト製品に切り替わりました。
しかし、アスベストに代わる素材の技術が未熟だったため、以下のような問題が発生しました。

劣化症状:塗膜剥がれ、ひび割れ、層間剥離、劣化した屋根材の崩れや落下。
問題点:耐久性が低く、築10~15年で顕著な劣化が見られる。また、屋根に人が乗ると簡単に割れるため、点検や補修が困難。
影響: ノンアスベスト製品は「欠陥商品」との批判を受け、2013年に販売中止。
類似の問題を持つ屋根材は他にも!
セキスイかわらUだけでなく同時期のノンアスベストスレート屋根材(例:ニチハのパミール、松下電工のレサス、シルバス)も同様の劣化問題を抱えています。これらの屋根材についても脆い素材で劣化症状が発生していることが考えられるため、リフォームをご検討されることをおすすめします。
あなたの家の屋根はアスベスト含有?ノンアスベスト?見分け方とは

リフォームを計画する前に、セキスイかわらUがアスベスト含有かノンアスベストかを判別する必要があります。
以下の方法でどちらかを確認することができます。
製造年月で判断:1975年~1990年8月はアスベスト含有、1990年9月~2007年はノンアスベスト(1991年以降は完全無石綿)。
劣化症状:アスベスト含有タイプは塗膜剥がれやひび割れが少なく、頑健。ノンアスベストは塗膜剥がれ、ひび割れ、層間剥離、基材の崩れが顕著。
ロット番号を確認:棟瓦に刻印されたロット番号(西暦の下1桁)が「0」は1990年製造。
書類の確認:新築時の図面、仕様書、保証書に記載された屋根材や施工年を確認。
専門業者による診断:屋根の状態をプロに点検してもらう。ノンアスベストの場合は屋根に登ると割れるため、ドローン点検がおすすめ。
ノンアスベストタイプは非常に脆いため、屋根に登ると破損や落下の危険があります。
また、高所での点検は落下事故のリスクを伴うため、棟瓦や劣化症状の確認はプロに任せましょう。
セキスイかわらUの正しいリフォーム方法
では、セキスイかわらUはどんなリフォーム方法が適切なのでしょう。
誤った方法を選択してしまうと工事の意味が無く費用だけかかったり、かえって雨漏りを起こすなどの恐れがあるので以下の内容をチェックしてみてください。
屋根塗装は意味がない!その理由とは

セキスイかわらU以外の屋根材であるスレート屋根やモニエル瓦、劣化の少ないアスベスト含有のセキスイかわらUなどであれば屋根塗装をし、ある程度の防水性や美観の向上させることが可能です。
しかし、セキスイかわらUでノンアスベストの場合は屋根塗装は全く意味がないと言っても過言ではありません。
ノンアスベストのセキスイかわらUは非常に脆く、屋根の上を歩くだけで割れてしまうので屋根塗装ができません。
仮に塗装ができたとしても、1~2年で塗膜が剥がれてしまうため、一時的な見た目の回復にしかならないでしょう。
一番理想的な方法は葺き替え工事

葺き替え(ふきかえ)工事とは既存の屋根を撤去・処分し、下地ごと新しい屋根に葺き替える工事を言います。
ノンアスベストのセキスイかわらUは塗装や補修ができないため、屋根材自体を新しく替える方法が最も良いリフォーム方法です。
なお、撤去・処分をすることで費用は高くなりがちです。
しかし、屋根やお住まい全体の寿命を延ばして安心してお過ごしいただくことができる最もメリットの多い方法なので大変おすすめです。
コストを抑えるならカバー工法

カバー工法は既存の屋根材を残し、上から新しい屋根材を被せる工事を言います。
既存の屋根材がセキスイかわらUの場合は同じ形のガルバリウム鋼板やFRP(繊維強化プラスチック)で作られた専用の屋根材を使用します。
葺き替え工事と違って既存の屋根の撤去・処分にかかる費用を節約することができますが、下地の張り替えはできません。
また、屋根が二重になるので若干ですが耐震性が低下します。
ご予算や将来的に長く住むかどうかにより、葺き替え工事かカバー工法かご検討いただければと思います。
屋根リフォーム相談窓口が行ったセキスイかわらUの施工事例
私たち、屋根リフォーム相談窓口ではセキスイかわらUのリフォームを数々行ってきました。
ここではその施工事例を一部紹介します。
静岡県三島市|セキスイかわらUからガルバリウム鋼板へ葺き替え


雨漏りのお問合せで、20数年前に他社で瓦棒葺き屋根の上に、ノンアスベストタイプのセキスイかわらUを施工されていました。
ドローンで屋根の診断を実施したところ、予想通り多くの割れや欠損が見られました。
そのため、古くなったセキスイかわらUを撤去して新しい屋根材を葺く葺き替え工事を提案させていただきました。
既存屋根解体

アスベストは含有していませんでしたが足場を設置して周りに養生ネットを張りました。
屋根を撤去するとホコリや建材の破片が飛散して近隣にご迷惑をかける恐れがあるからです。
歩くだけで割れるほど劣化していたセキスイかわらUを1枚ずつ撤去し、木下地、桟木も撤去して屋根をフラットな状態にしました。
構造用合板、ルーフィング張り

構造用合板12㎜を敷き詰めてビスで固定しながら屋根材を葺くための下地を作りました。
その上には雨水の浸入を防ぐ防水シートである、改質アスファルトルーフィングを張っています。
田島ルーフィングのPカラーEX+という耐久性に優れたコスパの良い製品を使用しました。
屋根材設置

新しい屋根材にはガルバリウム鋼板でできている立平葺きが採用されました。
軽く地震に強い屋根材で、一番低い軒先から一番高い棟までが1枚のつなぎ目のない屋根材になっています。
そのため、止水性が高く勾配(傾斜)の緩い屋根に施工できるのが大きな特徴です。
見た目が美しくなり、雨漏りも止まってお施主様は大変お喜びのご様子でした。
↓施工事例のページでも、工事の内容について詳しく紹介しています

静岡県浜松市|セキスイかわらUを残したカバー工法


築40年の平屋のお住まいで、屋根材のひび割れ、破損を心配されてご相談くださいました。
瓦の表面が剥がれていると塗り替えができず、葺き替えとなると廃棄にもコストがかかることから、セキスイかわらU専用の屋根カバー工法を提案させていただきました。
屋根カバー工法は既存の屋根材の上に新しい屋根材を葺く工事で、今回はセキスイかわらU専用の屋根材を使用します。
頂上にある棟板金やケラバなどの役物を外し、ファイバージャケットというセキスイかわらU専用の屋根材を被せてビスで固定して役物を戻せば完工です。
まるで葺き替えしたかのようにきれいな屋根に生まれ変わり、ご依頼主様にもご満足いただけました。
↓施工事例のページでも、工事の内容について詳しく紹介しています

セキスイかわらUのことなら、屋根リフォーム相談窓口へ!

屋根修理は業者によって提案内容が異なり、中には誤った工事でトラブルに発展するケースもあります。
リフォームを成功させるにはセキスイかわらUの特性を理解し、信頼できる専門業者を選ぶことが何よりも大切です。
無料点検や複数社の見積もりを活用し、お住まいの状態やご希望内容・ご予算に合う最善の方法をお選びください。
当団体、屋根リフォーム相談窓口は静岡県と八王子を拠点とした屋根工事の専門店5社で構成されています。
正しいリフォームを適正価格でご提供するために屋根工事の施工はもちろん、各工事のセカンドオピニオンや相談窓口を行っています。
屋根のリフォームのことでお困りごとがございましたら、何でもお気軽にお問合せください。
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