日本は昔から地震が多い国で、近年も地震が多発しています。
私たち日本人は地震に慣れているとはいえ、南海トラフ地震がいつ起きてもおかしくないと言われている今、住宅の耐震性は気になりますよね。
そこで今回のブログは、地震が起きた時に瓦屋根だと危ない?耐震性を上げるには?というテーマでお届けします!
重い「瓦屋根の家」は地震に強い?弱い?
瓦は1枚あたり約3kgの重量があり、約20坪の屋根の総重量は約3,000~4,800㎏にもなります。屋根が重いと家の重心が高くなり、地震の時に揺れが大きくなってしまいます。
となると、やはり瓦屋根は地震に弱いと言えます。
ただ、工法によっては地震に耐えられることがわかっています。
昔ながらの工法で建てられていると、倒壊の危険性大!
土葺き工法
1923年に起きた関東大震災では「土葺き工法」の瓦屋根が多数落下・倒壊したため、震災後に関東地区で新築土葺きにする家はほぼなくなりました。しかし、関東以外では現在も土葺きの家があり、築50年以上の家はその可能性が高いそうです。
1995年の阪神・淡路大震災で倒壊した家の多くも、土葺き工法瓦屋根だったのです。この震災後は屋根の軽量化について法整備され、土葺き屋根は減少しました。
引掛桟瓦葺き工法
上記のような背景から、土を使用しない「引掛桟瓦葺き(ひっかけさんかわらぶき)工法」が主流となっていきました。
防水シートの上に細い木(桟木)を等間隔で横に並べ、そこに瓦をひっかけて瓦4枚にごとに釘1本を打つ工法です。
土葺きと比べて良い点は、
・桟木に瓦をひっかけるので屋根全体が軽くなる
・釘を打つため瓦が安定
ですが、完全に固定しているわけではないので台風や地震などで瓦が落ちることもあります。
ガイドライン工法に沿った瓦屋根の住宅は、能登半島地震でも大丈夫でした!
ガイドライン工法は引掛桟瓦葺き工法とほぼ同じで、瓦1枚ごとに釘を1本打ち、桟木に固定する工法です。
2024年1月に発生した能登半島地震での屋根被害調査では、ガイドライン工法で建てられた瓦屋根住宅は被害を受けていないことがわかっています。
そのため、この工法が制定される前の2001年以前に建てられた瓦屋根住宅(築20年以上)では、何らかの耐震対策が必要だと言えます。
詳細記事 引用:株式会社 請川窯業HPより
能登半島地震 ガイドライン工法は被害見られず | 株式会社 請川窯業 能登半島地震 ガイドライン工法は被害見られず – うけがわの瓦が日本の屋根を元気にします。
築年数が浅い住宅も、いずれ老朽化します。その時に大きな地震が来たら?
ガイドライン工法が地震に強いとはいえ、どんなに大きな地震が来た場合でも安心です!とは言い切れません。また、2001年以降に建てられ築年数が新しい住宅でも、今後老朽化したタイミングで地震が起きるかもしれませんよね?
上記理由から、ガイドライン工法で施工されている家でも、ガルバリウムなどの軽量屋根材に葺き替えを検討したほうがより耐震性が強化されます。
耐震性がアップする屋根のリフォーム方法は?
リフォームで屋根を軽量化すれば、家屋倒壊の危険性を下げることは可能です。
瓦屋根は重いため、軽量化するためには屋根材を重ねるカバー工法ではなく屋根材を全て取り替える「葺き替え工事」が必要となります。
注意:「屋根の軽量化=絶対に倒壊しない」というわけではありません。
柱に耐震補強をするなど、住宅全体の耐震性を向上させることも重要です。
①とにかく軽い屋根材にしたい!→瓦以外の軽量屋根材へ葺き替えをする
瓦以外の軽量屋根材は大まかに下記の3つがあります。
- ガルバリウム鋼板
- 金属瓦
- スレート
いずれも軽量な素材のため、耐震性を一番優先したい方は瓦以外の軽量屋根材へ葺き替えすることをおすすめします。
②瓦の雰囲気を崩したくない!→軽量瓦に葺き替えをする
見た目は瓦とほぼ同じなので、
・瓦のまま耐震性を高めたい
・和の雰囲気や伝統を大切にしたい
という方にオススメの屋根材です。下記2種類があります
・軽量瓦
瓦と同じ見た目ですが従来の瓦よりも軽い粘土でできているので、重さが2/3〜半分程度まで軽量化されています。
・防災瓦
軽量化された瓦に瓦同士を固定するロックアームがついており、台風や地震に強い作りになっています。
瓦に代わる軽量の屋根材とは?
瓦屋根から葺き替える場合の、弊社オススメの屋根材の種類をご紹介します!価格と耐久性、重さなどを一覧にまとめました。
※一般的な瓦の重さは約45~ 50kg/㎡です。
価格 | 耐久性 | 耐久性 | デザイン | 重さ | |
ガルバリウム | 7,000円/㎡〜 | 20~30年 | ◎ | ○ | 約5kg/㎡ |
金属瓦 | 10,000円/㎡~ | 25~40年 | ◎ | ◎ | 約7kg/㎡ |
軽量瓦 | 11,000円/㎡~ | 30年〜 | ○ | ◎ | 約30〜40kg/㎡ |
防災瓦 | 9,000円/㎡~ | 30年〜 | ◎ | ◎ | 約35〜39kg/㎡ |
スレート | 6,000円/㎡~ | 20~25年 | ○ | ◎ | 約20kg/㎡ |
※ 上記価格は目安です。付帯の役物工事や、防水シート、野地板交換の有無により金額は上記に加算されていきます。
※ 耐用年数は製品により、多少前後します。
①ガルバリウム鋼板(こうはん)
金属製で超軽量、丈夫な屋根材です。
メリット
・非常に軽い
・モダンで洗練されたイメージになる
デメリット
・初期費用が高い
・デザインが限られる
②金属瓦
瓦に似た見た目に加工されており、金属で超軽量なので耐震性もバツグンです。
メリット
・非常に軽い
・デザインが豊富で住宅の雰囲気とマッチしやすい
デメリット
・初期費用が高い
・瓦ほどの重厚感はない
③軽量瓦、防災瓦
屋根を軽くしたいけれど、瓦の雰囲気も残したい方にオススメです。
メリット
・瓦の雰囲気を残せる
・基本的に塗装が不要・メンテナンスが楽
デメリット
・初期費用が高い
・一般的な瓦よりは軽いが、大幅な軽量化はできない
④スレート
一番安価に屋根を軽量化したい場合、スレート屋根がオススメです。
メリット
・価格が安い
・軽い
デメリット
・薄いので割れやすい
相談・依頼が増えています!〜瓦屋根→軽い屋根材への葺き替え事例をご紹介〜
①瓦屋根→ガルバリウム鋼板へ
静岡県富士宮市にて、瓦屋根の葺き替え工事を行いました。
ご依頼主様邸の屋根は大きな破損などはありませんでしたが、今後の災害に備えて瓦屋根の葺き替えを検討されていました。
そこで、今回は瓦屋根材の1/10の重さで建物への負担が少なく、耐震性に優れている「かわらMFシルキー」をご提案させていただきました。
瓦屋根からガルバリウム鋼板の屋根に葺き替えたことにより、お住まいの印象はガラリと変わりましたが、お施主様には「これで地震の時でも安心できます」と喜んでいただけました。
②瓦屋根→軽量瓦へ
静岡県駿東郡清水町にて、お施主様から雨漏りのご相談があり現地調査にお伺いいたしました。
築年数が60年以上経過し土を敷き詰める土葺き工法で施工されていました。雨漏りも複数個所発生していたため屋根全体の葺き替え工事をご提案させていただきました。
屋根材は瓦調の屋根がご希望でしたのでケイミューの「ルーガ雅」で施工しました。(瓦と同じ見た目を持ちながら、瓦の半分の重さで軽量化もされている屋根材)見た目が瓦葺きの様に高級感や重厚感ありお施主様にも大変喜んで頂けました。
リフォーム補助金も活用して、南海トラフ地震に備えましょう!
一部自治体では瓦屋根の軽量化などの耐震リフォームに対する補助金制度を設けています。
下記リンクを参考に、お住まいの自治体の補助金制度をチェックしてみてください。
地震対策が心配な瓦屋根の住宅にお住まいの方は、まずは専門家にご相談ください!
瓦屋根は日本の伝統的で美しい屋根材ですが、地震対策を考えるとやはり重さがネックとなってしまいます。南海トラフ地震に備え、大切な家族や住まいを守るために、まずは専門家に相談してみましょう。
屋根リフォーム相談窓口では瓦屋根の耐震診断はもちろん、
「とにかく屋根を軽くして地震に備えたい」
「瓦のイメージが好きだから似たような屋根材がいい」
といった施主様一人一人のご要望に合わせてリフォームプランをご提案いたします。
従来の瓦屋根に代わるおすすめの屋根材も豊富に取り扱っておりますので、いつでもお気軽にご相談ください!