屋根リフォームを検討する際、どの屋根材を選ぶかは重要な決断です。
近年、注目を集めているのがベルギーのRTGヨーロッパ社で一貫生産される「ヴィクセン(Viksen)」という屋根材です。
北欧デザインの美しさと高い機能性を兼ね備えた天然石付きガルバリウム鋼板で、屋根リフォーム相談窓口でも多く施工しています。
この記事ではヴィクセンを使った屋根リフォームの魅力やデメリット、他の屋根材との比較、施工例などを詳しく紹介します。
「そろそろ屋根リフォームを考えている」「プロがおすすめする屋根材を知りたい」「屋根選びに迷っている」という方は、ぜひご参考になさってください。
ヴィクセンとは?

ヴィクセンはベルギーで生産される天然石付きガルバリウム鋼板屋根材です。
北欧の伝統的な建築スタイルにインスパイアされたデザインで、機能性と美観を両立し、日本の多様な住宅に適しています。
以下にヴィクセンの主要な特徴をまとめました。
ヴィクセンの基本仕様
まずはヴィクセンという屋根がどのような仕様なのか、基本情報を見ていきましょう。
素材: ガルバリウム鋼板に天然石チップを焼き付けた構造。
重量: 1㎡あたり約6.67kg(瓦の1/8、スレートの1/3程度)。
デザイン: 北欧風のシングル調パターンで、モダンから伝統的な住宅まで対応。
耐久性: サビにくく、メンテナンスが容易。
工法: カバー工法に適しており、既存屋根の撤去が不要な場合が多い。
北欧デザインの魅力

ヴィクセンのデザインは古代ヴァイキングの建築スタイルに由来しています。
木製シングルを模したパターンは建物の個性を引き立て、どんな街並みとも調和するでしょう。
日本の洋風住宅やモダンな雰囲気の家にもマッチし、独特の温かみと高級感を演出してくれるので、デザインにこだわりたい方にもおすすめです。
3つのカラーバリエーション
ヴィクセンのカラーバリエーションは高級感と重厚感を演出するジャーマンブラック。
落ち着いた色合いで、温かみのある雰囲気を醸し出すアンティークブラウン。
明るいデザインのブルージュの3タイプからお選びいただけます。
プロが屋根リフォームにヴィクセンをおすすめする5つの理由
屋根リフォーム相談窓口では、屋根カバー工法や葺き替え工事の際にヴィクセンを提案することがあります。
その理由を具体的に紹介します。
①優れた耐久性

ヴィクセンはガルバリウム鋼板を基材とし、表面に天然石チップを焼き付けた構造により、サビにくく長期間美観を維持します。
その耐久性の高さから従来のスレート屋根や瓦屋根に比べてメンテナンス頻度が少なく、長期的なコストパフォーマンスに優れています。
②軽量で耐震性が高い

1㎡あたり約6.67kgと非常に軽量なヴィクセンは建物への負担を軽減し、地震の揺れを抑える効果があります。
特に日本のような地震多発国では大きなメリットですよね。
瓦屋根の1/8、スレート屋根の1/3の軽さで、構造的な安全性にも寄与します。
③強風や落雪に強いインターロックシステム
ヴィクセンは専用ビスで固定するインターロックシステムを採用しており、強風による飛散や煽りを防ぐ構造です。
また、天然石チップの凹凸が落雪をしっかりと抑え、急勾配の屋根でも落雪リスクを軽減します。
なお、雪止め金具を追加することも可能で、さらに安全性が向上します。
④遮音性と断熱性で住環境の改善

ヴィクセンは表面のストーンチップ加工により、雨音を低減する効果があります。
これにより室内の快適性が向上するため、特に雨の多い地域でのリフォームに最適です。
また、ヴィクセンと野地板の間には空気層を設ける構造になっていることから断熱効果を高く、夏の暑さや冬の寒さも軽減してくれます。
⑤屋根カバー工法が可能

ヴィクセンは既存の屋根を撤去せずにその上から施工できる屋根カバー工法の選択が可能な屋根材です。(既存の屋根材や劣化状態によっては施工できない場合があります。)
屋根カバー工法は葺き替え工事よりも工期の短縮やコスト削減が可能なため、おすすめの工法です。
ヴィクセンのデメリットとは
ヴィクセンにはおすすめポイントが多い屋根材ですが、一方でデメリットもあります。
採用される際には懸念点も把握したうえで、総合的に判断をしましょう。
以下に、ヴィクセンのデメリットと言える点をまとめました。
・初期コストの高さ: 一般的なスレート屋根やアスファルトシングルに比べ、初期費用が高め。
・施工技術の必要性: インターロックシステムや特殊な構造のため、専門知識を持った業者選びが重要。
・カラーの選択肢が限定的: 他の屋根材に比べ、カラーバリエーションは多くない。
上記のデメリットを考慮しても、ヴィクセンの長期的な耐久性やメンテナンスの容易さを考えればコストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。
ヴィクセンと他の屋根材との比較
屋根リフォームでは様々な屋根材から選択をしなければなりません。
ヴィクセンと、一般的な屋根材を比較してみましょう。
ヴィクセン | スレート屋根 | 日本瓦 | アスファルトシングル | |
重量 | 6.67kg/㎡ | 20kg/㎡ | 50kg/㎡ | 10~12kg/㎡ |
耐久性(耐用年数) | 高い(約30年以上) | 中(約20~25年) | 高い(約50年以上) | 中(約15-20年) |
デザイン | 北欧風、モダン | シンプル | 和風 | モダン |
コスト | 中~高 | 低~中 | 高 | 低 |
カバー工法 | 可能 | 可能 | 不可 | 可能 |
上記のようにヴィクセンは費用は高めですが、軽量性と耐久性のバランスが優れており、北欧風・モダンなデザインをご希望される方におすすめです。
屋根リフォーム相談窓口での施工例
私たち、屋根リフォーム相談窓口でもヴィクセンの屋根を提案させていただくことがあります。
ここでは実際に行った施工事例を具体的に紹介します。
東京都八王子市|雹(ひょう)被害によりヴィクセンで重ね葺き(屋根カバー工法)


2024年9月に発生した雹(ひょう)被害に遭い、既存のコロニアル屋根に割れ、凹み、傷などが目立っていました。
新しい屋根材はいくつか提案した中から、機能や見た目が良いとヴィクセンが採用されました。
軒先水切、ルーフィング(防水シート)、棟谷下地の取り付け

軒先に屋根カバー工法用の板金を取り付け、ルーフィング(防水シート)を張りました。
一番雨水が溜まる谷部分にはルーフィングを張る前に全天シートという粘着性のものを張ってあります。
使用したルーフィングは田島ルーフィングのタディスセルフカバーです。
厚みが薄く軽量なうえ、下地追従性に優れていて既存屋根で破れることもありません。
もちろん防水性・耐久性が高いので雨水からお住まいを丈夫に守ってくれます。
棟包を取り付けるための棟下地と谷板金を取り付けたら、ヴィクセン本体を施工します。
ヴィクセン本体施工

軒先から順にヴィクセン本体をステンレスのビスで留めていきます。
色は落ち着きのあるアンティークブラウンが選ばれました。
上まで登り切ったらてっぺんに穴を開け、換気カバーを取り付けました。
換気カバーは屋根裏の湿気や熱を外部に排出するため、室内の温度上昇や結露の発生を抑制してくれます。
そのため、住み良い環境づくりや建物の耐久性を高める効果があります。
ケラバ、棟などの役物を取り付けて完成

ケラバと棟包の板金を取り付け、露出しているビスにシリコンを塗って上から本体と同じ石粒をまぶして完成です。
なお、今回のような自然災害による屋根リフォームは火災保険が適用される可能性があります。
工事費用を抑えられるため、ご活用されることをおすすめします。
火災保険による補修・リフォームについてはこちら
\詳しい施工事例はこちら/

東京都八王子市の郵便局|野地板増し張り屋根カバー工法・ヴィクセン使用


「外壁や屋根のひび割れ、剥がれの修繕をしてほしい」と、屋根リフォーム相談窓口のホームページのお問合せフォームからご相談くださいました。
調査は屋根の踏み割れや落下事故を防ぐため、ドローンを使用して行いました。
スレート屋根は劣化が進行し、ひび割れ、欠け、反りなどが発生して雨漏りが起こってもおかしくない状態のため、屋根カバー工法を提案しました。
外壁も塗膜が傷んでいたため、塗装をして見た目を一新させます。
野地板増し張り

屋根カバー工法は一般的に既存の屋根の上にルーフィングを張り、その上に新しい屋根を被せる工事です。
しかし、今回は屋根の状態が非常に脆く、新しい屋根を葺いても固定力が弱くなってしまうため、屋根の下地である野地板を張りました。
屋根に登って屋根がブヨブヨとしている場合は野地板が傷んでいるサインのため、このように野地板増し張り屋根カバー工法か、既存の屋根を撤去して下地からやり替える葺き替え工事をおすすめします。
ルーフィング張り~ヴィクセン本体施工

ルーフィング(防水シート)には高級改質アスファルトルーフィングのタディスホワイトを使用しました。
夏の日差しに強く、強度が高い商品で、期待耐用年数は約20年です。
ルーフィングの上にはヴィクセンのアンティークブラウンを施工しました。
「昔ながらの趣は残しておきたい」というご希望から提案し、採用されました。
ヴィクセンは現代風にもレトロな雰囲気にもなるので、デザインにこだわりたいという方からも選ばれています。
外壁塗装

外壁は内側への浸水や腐食している形跡は見受けられなかったため、耐久性を加味して、塗装での補修を行いました。
剥がれて脆くなった塗膜は削り落とし、パテで穴を埋めて既存の色に近い色で塗装をしました。
ご要望通り施工前と大きく雰囲気は変えず、建物の傷んだ場所を全て補修できました。
\詳しい施工事例はこちら/

屋根のことなら、屋根リフォーム相談窓口へご相談を!

ヴィクセンは北欧デザインの美しさと高い機能性を兼ね備えた非常にメリットの多い屋根材です。
初期コストは高めですが、長期的なメンテナンスの容易さや耐久性を考慮すると、コストパフォーマンスに優れた選択肢と言えるでしょう。
ただ、どんなに優れた屋根材であっても施工方法が適切でなければ意味がありません。
屋根リフォームを成功させるにはヴィクセンの特性を理解し、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
私たち、屋根リフォーム相談窓口は屋根のことを熟知したプロフェッショナル集団です。
「うちはどんな屋根材が向いているか」「できるだけコストを抑えて工事をしたい」「そもそも工事が必要か調査してほしい」など、何でもお気軽にご相談ください。
お客様のご予算・ご希望内容を最優先に、屋根の状態に合わせたベストなプランを提案いたします。