


屋根や外装の工事では、お客様から、
「ここだけ直してほしい」
「この部分だけ交換してほしい」
というご相談をいただくことがよくあります。
もちろん、私たちの仕事は、お客様のご希望をしっかりお聞きし、その内容に合わせてお見積もりや工事のご提案をすることです。
しかし、実際に現場を確認してみると、お客様のご希望通りにその部分だけを直してしまうと、かえって良くない結果につながってしまう場合もあります。
今回は、そのような現場調査の事例を二つご紹介します。
一件目は、軒天の破損による修理のご相談です。
お客様からは、
「軒天が壊れてしまったので、そこを直してほしい」
というご依頼でした。
軒天とは、屋根の裏側にあたる天井のような部分です。
見た目としては、壊れている軒天を張り替えれば直るように感じるかもしれません。
しかし、ここまで部分的に大きく軒天が壊れている場合、雨漏りが原因になっていることが非常に多いです。
特に、破損の範囲が大きい場合は、内部に入り込んでいる雨水の量も多い可能性があります。
この状態で、雨漏りの原因を直さずに軒天だけをきれいに張り替えてしまうと、一時的には見た目が良くなります。
しかし、雨水の入り口がそのまま残っていれば、また内部に水が入り続けてしまいます。
さらに、今まで壊れていた部分から逃げていた水の逃げ場がなくなり、別の場所へ水が回ってしまうこともあります。
そうなると、今度はまだ壊れていない軒天まで傷んでしまい、結果的に修理範囲が広がってしまいます。
当然、修理費用も大きくなってしまいます。
そのため今回は、
「軒天だけを直すのではなく、まず雨漏りの原因を直し、その後に軒天を復旧する内容でお見積もりを作ります」
とご説明させていただきました。
お客様にも、その必要性をご理解いただくことができました。



二件目は、化粧スレート屋根の棟板金が飛んでしまったというご相談です。
お客様からは、
「飛んでしまった棟板金を新しく取り付けてほしい」
というご依頼でした。
棟板金とは、屋根の一番高い部分や、屋根面が合わさる部分に取り付けられている板金部材です。
通常であれば、飛んでしまった棟板金を新しく取り付ければ、工事としては完了します。
しかし、こちらの屋根は築40年以上が経過している化粧スレート屋根でした。
屋根材そのものもかなり年数が経っており、その下にある防水紙であるルーフィングも、すでに寿命を過ぎていると考えられる状態でした。
さらに、棟板金が飛んでから、しばらくそのままになっていたようです。
下り棟の隙間から見えているルーフィングは破れてしまっており、下地の合板が見えている状態でした。
お客様としては、現在雨漏りしていないため、
「棟板金だけ直してくれれば良い」
というお気持ちだったと思います。
もちろん、その修理だけを行うこともできます。
しかし、屋根全体の年数や下地の状態を考えると、あと何年安心して持つのかは判断が難しい状態です。
このような屋根に対して、棟板金だけを新しくしても、数年後に屋根本体やルーフィングが限界を迎えれば、改めて大きな工事が必要になります。
そうなれば、今回行う棟板金の修理費用が無駄になってしまう可能性もあります。
結果的に二度手間になり、費用も余計にかかってしまいます。
そのため今回は、
「棟板金だけの修理の金額」と「屋根カバー工事を行う場合の金額」の両方をお出しし、一度検討していただくことにしました。
お客様にも、
「なるほど、そうだよね」
とご納得いただけました。
屋根工事では、お客様のご希望を大切にすることはもちろん重要です。
しかし、専門業者としては、その工事が本当にお客様のためになるのかを考えなければなりません。
目先の修理費用だけを抑えても、数年後にまた大きな工事が必要になってしまえば、結果的にお客様の負担が増えてしまいます。
だからこそ、現場調査では壊れている部分だけを見るのではなく、なぜその不具合が起きたのか、屋根全体の状態はどうなのかを確認することが大切です。
部分修理で済む場合もあります。
しかし、原因を直さなければ、同じような不具合が繰り返されてしまう場合もあります。
屋根リフォーム相談窓口では、お客様のご希望をお聞きしたうえで、できるだけ無駄のない、将来的にも安心できるご提案を心がけています。
